存在

夫のことが一瞬きらいになった。

だから、夫との思い出を振り返って、この感情を鎮めたいなと思う。

 

 

学生時代ずっと彼氏いない歴=年齢だった私は、そのことがずっとコンプレックスだった。

 

高校時代は、彼氏がほしいとずっと嘆いていた。

青春っぽいデートをしてみたい。

でも別にずっと一緒にいたいわけじゃない。

相悪いし、一緒のベッドで寝るなんか論外。

「都合のいい時に、彼氏彼女っぽく振る舞える関係」が言い当て妙かと思う。

話のネタ、ステータスとして、「彼氏」が欲しかった。 

 

そんな都合のいい「彼氏」は現れなかった。

 

 

 

大学生になっていつからか、自分には縁がないと諦めていた。

別に私の人生で、恋人という存在を知る必要はない、と諦めるようになった。

という話を留学中にした時、後悔するよ的なことを言われた。

 

当時は、知らないなら別にそれでいいんじゃん?って思ってた。

 

 

こんな私なので、結婚というのは夢物語だと思っていたので結婚願望もなかった。

漠然と、みんな結婚したら後悔するのかな、とかは思っていたけれど、あくまで消極的姿勢。

 

もちろん、結婚願望がなければ子供も欲しいと思わなかった。

痛いのは嫌いだから出産なんてなぜ好んでするのかが全く理解できなかった。

自分の人生は自分のために生きたい。

子供のためにとか考えられない。

 

結婚はしたくても、出産だけは死んでも嫌だった。

たくさん働いて、若くしてやり尽くしたと思えば死ねばいいな、と、学生時代は本気で思っていた

 

そんな中、新人研修で男女5人グループで仲良くなった。

もう記憶が曖昧だけど、私がすごく体調悪い日にその中の1人が個別連絡くれたところから始まったのかな。

この人が面談で研修早上がりしてたから、結果どうだった?と連絡してみたりしたな。

千葉駅で外国人に道を聞かれて、英語がわからないって電話してきたから、通訳したなぁ。

そこから通話するようになったのかな。

あの時、困った時に私を思い出してくれたことが、単純だけど嬉しかった。

 

 

あぁ、この人と付き合ったら楽しいだろうな。

 

 

そんな気持ちが日に日に増えていった。

 

新人研修は3ヶ月。この時点で、2ヶ月が経っていた。

この人とは会社も違うから、終わったらきっかけがないと会えない。

それはいやだな。

これからも、会えたらいいな。

 

この日も華金で仲良いメンバーで研修後飲みに行った。

この辺りの時期に、現場が遠くなるので、私は一人暮らしを始めた。

 

ここで私は大勝負に出た。

酒の勢いで、やっちまおう大作戦。

 

「引っ越したからうちで二次会しようよ(笑)」と提案した。

もし断られても、冗談だよ、と言えるよう予防線をつけて。

 

彼といると本当に話も合うし、

居心地が良くて、

この人ならワンナイトでも後悔ないや、

と思えるくらいの信頼はしていた。

 

 

結果として、この人を信頼して問題なかった。

 

この人と出会って付き合っていくうちに、彼氏とか恋人というものを知った。

 

この人の腕枕は落ち着く、落ち着きすぎて睡眠成分が分泌されてるのかと思うくらい。

 

付き合ってた頃は、毎日長電話していた。

飲み会ではしゃぎすぎて落胆して帰ってくるので、毎回そんなおとなしいキャラじゃないとなだめていた。

毎日、この人と過ごすこの時間が好きだった。

 

ここまでで、高校時代に思い浮かべていた「彼氏」とは、全然別物なんだと。

 

この人と付き合って、毎日すごく楽しい。

安心する。

 

ずっと一緒に過ごせればいいな。

 

こんな感情が芽生えてきた。

 

大学時代の「後悔するよ」も、この人に出会えて知った、この感情なんだと思えた。

やっと、答え合わせができたよ。

 

 

この人とであって変わったこと、新しく出会えた感情はたくさんある。

 

子供に対する価値感もその一つ。

 

私はもともと、お腹を痛めたくないし、自分の遺伝子を残したいとおもわなかった。

子供が苦手なので、欲しくはなかった。

女性のほうが子供が欲しい願望が強いというけど、みんなそんなに遺伝子に自信があるんだ、いいなぁ、と思っていた。

なんと、性格の悪い。

 

 

そんな私と反対に、彼はずっと子供が欲しいと言っていた。

疑問だった。なんで欲しいの?と聞いた。

彼は興味がある、と答えた。

 

興味?そんな気持ちなんだ?

子育てで人生の20年くらいを奪われるのに?

最初はそう思っていた。

冒頭にも書いたが、自分の人生は自分のためな使いたいという考えしかなかった。

 

この人の考えに触れて、街で子連れを見て、これが家族なのかな、と思うようになった。

大好きで大切なこの人のために、子供との未来を描くのもありなのかな。

 

遺伝子に自信はない。

でも、興味だけでも子供を作る理由にはなるんじゃない?

世の中の人、実はそんなもんなんじゃない?

考えすぎなくても、いいんじゃない?

そんな気持ちになってきた。

 

「欲しい」までは思わない。

ただ、これでもだいぶ前向きになったと思っている。

 

 

この人と出会って、

 

 

 

お互いそう思っていたようで、恋人から夫婦になった。

 

 

一年が経った。

 

 

 

 

10月の初め、生理が来たと思ったら血が止まった。数日後、またちょろっと出血した。

変だな、と思い妊娠検査薬をAmazonで注文した。

 

陽性のところに、くっきりと線が入っていた。

 

2人とも在宅で仕事していて、夫はパチンコの動画を見ていた。

結果を見せたら、すぐに動画を止めて産婦人科を調べて予約していた。

 

夫はずっと、子供が欲しいと言っていた。

泣いて喜んでくれるかな、と思ったけど思ったより喜んでくれなかった。

聞いたら、嬉しさもあったけど不安や私の体調の心配の方が大きかったらしい。

 

夫は協力的だった。

当事者意識は私よりもあった。

ブロッコリーとほうれん草が葉酸取れるらしい、と毎日ブロッコリー食べさせられた。

ミキサー買って、スープを作った。

妊娠中の食べ物は生物がダメだが、

妊娠判定出るまでにいくらを食べ尽くそう、と言ったら叱られた。

判定出てないからいいじゃん。

 

夫の運転で産婦人科にいったり

意外だったのは、検査薬陽性だったら産科扱いになることだった。

病院であたらめて検査しないんだ、、

エコーで胎嚢が確認できたから、妊娠っぽい。

でもここで流産する確率が一番高いみたいだから期待しすぎず。

 

2週間後、胎児っぽい霞のようなシルエットも確認できた。

呼吸も弱いけど確認できますね、と。

妊娠かぁ、と現実味になってきた。

 

母になれるかなという不安と、夫に子供という贈り物ができるという嬉しさと。

未来が不安で涙も出てきた。

妊娠は、つねに不安との戦いだった。

 

 

7週くらいに、出血があったので、病院に連絡した。

すぐにきてくださいと言われて、しごとちゅだが夫に運転してもらった。

 

出血は、そこまで問題はなかった。

 

でも、呼吸が確認できなかった。

稽留流産かもしれない、と言われた。

 

いつもの医者じゃなかったから、この人の判定ミスじゃないか、という気持ちもあった。

昨日まで母になる不安で涙が出てたけど、今度はいなくなるの?という不安の涙が出てきた。

流産のほとんどは染色体異常らしく、なす術はない。

わかっていても、自分の体内にいると、私のせいだと思ってしまった。

毎日夜になると泣いていて、夫になぐさめてもらっていた。

 

夫は、ダメだったならしょうがないねと。

次に進もうと。

私のせいじゃないよ、と言ってくれた。

 

 

次の週結果を聞きにいった。

結果次第で夕飯は焼肉か寿司の2択になった。

結果は、寿司だった。

パルコの寿司屋さんで、値段気にせず食べた。私だけで五千円。一貫500円の特選生ウニ2個食べたし、いくらとのどぐろもたべた。夫は安めのネタが好きなので安上がりだった。

 

妊娠を伝えていたので、結果を母に電話した。

ごめん、と伝えると謝ることはないよと。

 

夫といれば、どんなことでも乗り越えられるよ、大丈夫だよ、と。

 

ずるいよ。こんなん泣くやろ。

平然を装いたくて、仕事のメール見ながら落ち着かせようとしたけど、無理だった。

 

 

稽留流産だと、いつ出てくるかわからないので、手術したいと伝えた。

昨日、朝10時頃総合病院へ紹介状持っていった。

診察して、手術のための検査して、次の日に手術になった。入院の予約とか会計して、もろもろ2時くらい。

夫に迎えを頼んで、トイレ行ったら血が止まらない。

これは、明日まで持つかなぁ。。と漠然とした不安と腹痛に駆られて、ロータリーで待っていたらどんどん出血が増えた。

 

まて、尋常じゃない。とりあえず、産婦人科行ってこよう。

受付で事情を話し、トイレに駆け込んだら文字通り出血大サービス。

外で私を呼んでいる。出たいけどとりあえず綺麗にしなきゃ。

ある程度綺麗にして、トイレから出て速攻診察室に連れて行かれた。

 

トイレで概ね流れたが、血まみれのまま処置してもらい、出血量が多いので点滴措置になった。

もう、手術は必要ないですね、と。

点滴で移動するとめちゃ見られる見られる。

 

 

1時間ほどぼーっとしていた。

唯一、妊娠を話していた友人からちょうど「体調どう?」と連絡があった。

稽留流産だったことは伝えていなくて、諸々終わってから話そうと思っていた。

今日の怒涛の出来事を話した。

 

気は使わなくていいからね、と送ったら

気は使ってない。でも大好きだから心配はしてる、ときた。

 

私は素敵な友人と出会えたな。

彼女は言葉選びが本当に素晴らしくて、そうそう、私はこれが伝えたいの!をちゃんと言葉にできる人だ。

本当になんでも言えるし信頼できる。

 

4時半ごろ、諸々の出来事が終わってやっと帰路に着いた。

本日に限り多忙な夫に3往復もさせてしまった。

 

流産とわかって2週半くらい。

立ち直った、つもりだった。

 

流産という結果は分かっていても、いざあの瞬間、体内から出てくると、やっぱりショックだった。

 

また泣いた。

 

こんな日に限って、夫は友人とゲームしていた。

いつもならいいけど、こんな日だぞ。

 

私が泣いたら、もう立ち直ったんじゃないの?次に行こうよ、と言われた。

 

わかってる。

結果は2週前にでてる。

 

でも、それとこれとは別。

このへん、わかってくれないんだ。

 

前、流産した後の夫の対応で離婚したとアベマでみたけど、なんか気持ちわかるかもと思った。

 

わかってくれなかったから、ショックだった。

夫が嫌いになりそう。

 

 

だけど、わたしの考え方が悪いのは、立ち直れないのが悪いから。

 

 

付き合う前、この人と一緒にいたら楽しいだろうなと思った。

 

その直感はただしいよ。この気持ちを忘れないでね、わたし。

夫のよかったことを書き出して、今日は寝ます。